橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

2007-03-01から1ヶ月間の記事一覧

「和shoku。の水」

経堂駅のすぐ近くにある和食の店。前から気になっていたのだが、上京した父親の接待ということで、今日はじめて入ってみた。注文したのは、「の水会席コース」四八〇〇円。最初の前菜盛り合わせは、ふぐの煮こごり、蓮根豆腐、鰺の棒寿司、空豆の芋寿司、山…

恵比寿麦酒記念館

株主総会の後は、恵比寿麦酒記念館のテイスティングラウンジへ。ここはでサッポロの定番商品のほか、限定品などいろいろな種類のビール、ポレールワインなどが二〇〇−四〇〇円で試飲できるビール好きのパラダイス。ヱビスなら二〇〇円、エーデルピルスでも二…

サッポロホールディングス株主総会

実は株主なので、行ってきた。ずいぶん注目されている。ご覧の通り、会場前にはマスコミの取材陣がひしめき合っている。 結論から言うと、今回はスティール・パートナーズ・ジャパンが逃げた。注目の第7号議案(会社提案)と第8号議案(スティール提案)について…

「ふくろ」美久仁小路店

今日はサンシャイン60の58階で職場の送別会の後、ふらふらと美久仁小路へ。行ったのは、やはり「ふくろ」。ミル貝の刺身を肴に、ホッピーを飲む。今日の客も、大部分がスーツにネクタイ姿のサラリーマンだが、小上がりではOLの四人組が盛り上がっている。…

「百姓亭」

経堂は道が複雑で、直角に交わるような場所が少ない。これは、世田谷区全体にいえることである。もともと、区画整理される前の農道がそのまま道路になっているわけだから、仕方がない。だから、慣れない人はすぐ道に迷う。とはいえ、基本は駅の北側に伸びる…

中野「路傍」

今日は四月に創刊される「TOKIO古典酒場」という雑誌の座談会で、早稲田の三栄書房へ。会議室でビールや日本酒をいただきながら、居酒屋についていろいろお話をする。対談相手は、居酒屋礼賛の浜田さんと、酔わせて下町のFさん。お二人は新参者の私な…

「レプロット」

二年ほど前、近所に開いた小さなイタリアンの店。テーブルが五つほどで、何とか一四人座れるだろうか。若い夫婦が二人でやっている気さくな店で、リストランテではなく「イタリア食堂」と称する。今日の料理は、ツブ貝と小松菜のガーリックソテー、ホタルイ…

稚鮎の山椒煮

もう、鮎が売られている。もちろん養殖物だが、この時期の楽しみは、稚鮎である。頭からかぶりつき、内臓も身も一緒に口に入れて味わう。稚鮎の場合、塩焼きだと塩加減が強くなりすぎるきらいがある。焼いて食べるなら、素焼きにして山葵を載せ、醤油をかけ…

郡山「味の串天」

調査で郡山へ。八人で分担して調査対象者のインタビューを終えた後、夕食へ。行ったのは、前回と同じ「正月荘」で、やはり鯉珍味三点盛、鯉蒲焼き、馬刺の紅白盛など。ずいぶん食べ、地酒を何種類も飲んで、一人四二〇〇円程度。郡山の郷土料理を味わうには…

板橋「鈴むら」

JR板橋駅は、埼京線で池袋から一駅。すぐ北側の踏切で埼京線と交差しているのは旧中山道で、南東方向へ行けば、巣鴨の地蔵通りへと至る。北西方向に行けば、途中で現中山道と交差して仲宿商店街を通り、板橋本町の交差点付近で環七を横切り、志村坂上の手…

志村坂上「飯綱」

志村三丁目の居酒屋「新潟」から急坂を上って志村坂上へ行く。坂の上には大きなマンションがいくつか建っていて、下から見るとけっこう威圧感がある。眺めはいいのだろう。坂の上といっても、板橋のことだから決して高級住宅地ではない。しかし、微妙に空気…

志村三丁目「新潟」

前にも書いたように、志村三丁目は都営三田線が地上に出たところの駅。つまり、武蔵野台地から北へ坂を下った場所である。この「新潟」は、改札を出て左方向へ行き、二本目を右に曲がってガードをくぐったところにある。店内はテーブルが四卓と壁際のカウン…

下北沢「せっちゃん」

二月二六日の東京新聞に、「消える僕らのシモキタ 人情屋台せっちゃん 再開発で閉店へ」という記事が載った。下北沢北口に、ヤミ市そのままのおでん屋さんがあって、近く閉店して取り壊されるのだという。下北沢にはときどき行くのだが、南口専門で、これに…

上板橋「もつ九」

この店は、私がこれまで最も多くの時間を過ごした居酒屋である。この先、それ以上の時間を過ごす居酒屋が現れることはあるまい。なにしろ、板橋に住んでいた二〇年ほどの間、最初の数年間は除くと、平均して週一回くらいは通っていた。行った回数は、五〇〇…

東武練馬「大衆割烹 春日」

東京二三区を、都心・東部・西部と三つに区分することがある。東京都の統計の上では、都心は千代田・中央・港・渋谷・新宿・文京・豊島・台東の八区。東部と西部がこの周りを取り囲むわけだが、その境界はどこかというと、板橋と練馬の間である。この二つの…

下北沢「宿場」

今日は下北沢へ。南口を出て、店を物色しながら歩くと、若者向けのカジュアルものばかりを揃えた古着屋が店開きする通路の奥に、飴色に輝く大きな提灯が。気になって入ってみたのが、この店である。客はほとんどが若者たちで、私はどうやら最年長のようだ。…

「やきとり」とは何か?

今朝の朝日新聞(東京版)に、作家の江上剛さんが「焼きトン」と題する一文を書いている。その冒頭部分はというと・・・・。 長年の疑問が氷解した。どんな疑問かというと「焼きトンをなぜ焼き鳥というのか」という疑問だ。その答えは「鳥ばかりでなく肉を串に刺し…

歌舞伎町「三日月」

歌舞伎町の風林会館そばには、ゴールデン街ほど規模は大きくないものの、ヤミ市的な臭いのする路地がある。その中にある、知る人ぞ知る隠れ家のような店がここ。以前、マスコミ関係者に連れられてきたことがあり、いい店だという記憶があったので、再訪。た…

フォアグラと菜の花の酢の物

妻がロンドン土産に買ってきた瓶詰めのフォアグラを食べる。マニュアル通り、スライスした甘めのパンを軽く焼き、そのうえに載せてソーテルヌと合わせる。確かに旨い。お遊びでやってみたのが、これ。妻には止められたが(笑)。悪くはない。しかし、ワインに…

北沢「井口」

持病の腰痛の治療のため、笹塚の鍼灸院に通っている。笹塚は、渋谷区の西端。地図を見れば分かるように、この部分だけが西側に飛び出して、杉並・世田谷両区と接している。駅の近辺はきれいになり、おしゃれな店もあるが、南側へ出ればすぐに、懐かしい雰囲…