橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

2007-05-10から1日間の記事一覧

「たそがれ酒場」(内田吐夢監督 1955年 新東宝)再論

この映画については四月二六日に紹介したが、いくつか補足をしておきたい。この作品は、戦地から半死半生で帰ってきた内田の復帰第二作。内田は自伝『映画監督五十年』で、その脚本について「健康な大衆酒場の一日の出来事が、たった一パイのセットに盛り込…