橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

2006-08-01から1ヶ月間の記事一覧

郡山「正月荘」「味の串天」

現地調査で郡山に行ってきた。当然、仕事のあとは、郷土料理の店へ。宿泊した郡山ビューホテルのすぐそばの、正月荘である。最初はビール。メニューには書いてあるのに、サッポロビールがなかったのは残念。仕方がないので、キリンにする。そのあとは、郡山…

半蔵門「エリオ・ロカンダ・イタリアーナ」

居酒屋ではないが、たまにはいいだろう。イタリア人一家の経営する、イタリアンの店である。日本風、あるいは懐石風にアレンジされないイタリアそのままの味という評判で、ふだんはイタリア人客が多いらしい。場所柄、入りづらい高級店を想像していたが、さ…

自由が丘「金田」

名店との評価が高く、「金田酒学校」の異名をとる。もう十数年前から行ってみたいと思っていたのだが、今日ようやく、自由が丘の古書店に用事ができたついでに、立ち寄ることができた。白地に「金田」と名が小さく入った上品なのれんをくぐり、すりガラスの…

「日本橋紅とん」

日本橋に本店があるという焼きとんの店。以前から、焼きとんというからには、一度入ってみなければと思っていた。下高井戸駅前市場の奥の角地にあり、二方向に入り口があって入りやすい。外にも少しだけテーブルがあり、道路脇でも飲食できるようになってい…

下北沢「楽味」

集中講義の三日目は、根津の駅から小田急線直通に乗り、下北沢へ。地上はあいかわらず若者たちでごった返しているが、地下へ降りると別世界のような大人の空間。本格的な板前割烹の店として太田和彦も絶賛する、「楽味」である。 店はほぼ満員で、ちょうど出…

御徒町「スタンディング・コーナー」

集中講義の二日目、今日は少し歩いて御徒町へ行くことにする。一軒目は御徒町のガードそばにある「佐原屋」へ。ともかく安い店で、ビール大瓶が五〇〇円、料理は二〇〇円台が中心で、いちばん高いのがキスやメゴチなどの天ぷら五〇〇円。客は中年男性がほと…

根津「車屋」

七月の二五日、二六日、二八日と三日間、東大文学部で集中講義。東大も教育熱心になったもので、なんと授業時間が六限まである。予定では二限から六限までだったが、六限を時間割通りにやると、終了はなんと八時二〇分になる。こんな時間まで授業するわけに…

「おふろ」

下高井戸は、もともと甲州街道の最初の宿場町だった。日本橋からの距離がやや遠かったことから、後に内藤新宿が作られて二番目の宿場町となったが、その面影は下高井戸商店街とその周辺の賑わいにみることができる。私の家からは徒歩二〇分ほどで、自転車で…

代々木上原「笹吟」

今日行くのは、代々木上原の「笹吟」。太田和彦によると、多彩で上質の料理とともに数々の名酒を楽しむことができる、居酒屋のニューウェーブを代表する名店とのこと。場所柄もあり、私がふだん好んで通う大衆居酒屋とは一線を画する。一人ではなんだか入り…