橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

2006-07-01から1ヶ月間の記事一覧

斎藤酒場

だいぶ酔いが回ってきたが、ここまで来たら十条の斎藤酒場にも行かないわけにいくまい。というわけで、赤羽からJR線で一駅目の十条で降り、斎藤酒場へ。この店もいまや、東京を代表する居酒屋の一つとしてすっかり有名になった。創業は昭和三年で、店内には…

立ち飲み「いこい」

次は、東京一安い居酒屋である。まるよしの裏手あたりにある、立ち飲み屋「いこい」。店内は広く、厨房を囲む大きなコの字型カウンターと、その右側に十人くらいが飲める大テーブルがいくつか。客は立ったまま酒を飲み、肴に箸を伸ばす。いかほどかの金をカ…

大衆酒場「まるよし」

「まるます家」は一時間ほどで切り上げ、一番街の裏通りの居酒屋街を散歩してから、駅の方向へ戻り、東口斜め右向かいの「まるよし」へ。「大衆」と「酒場」の間に「まるよし(○の中に吉)」と染め抜かれた大のれんが真新しい。最近になって、作り直したのだろ…

鯉とうなぎの「まるます家」

千住と赤羽は、双子のような町である。いずれも東京23区の東北部に位置し、交通の要所。千住は日光街道の宿場町だが、赤羽の少し先の岩淵には、日光御成街道の宿場があった。将軍家専用の街道だったが、ふだんは一般の通行にも使われ、千住ほどではないもの…

「千住の永見」

もつ煮込みとぬたを肴にビール2本を飲んで、「大はし」を出る。次に向かったのは、やはり北千住駅西口から左に入る飲食店街の入り口近くにある「千住の永見」。知名度はさほどではないが、やはり北千住を代表する大衆酒場である。「大はし」のように行列こそ…